恋の人、愛の人。
「ん。チーズの風味といい…オレンジリキュールが少し入ってるかな。旨いかも…」
「…そ、そうでしょ?だからちゃんと開けて確認してみたら良かったんですよ?冷蔵庫に入れて置きますから、後で食べたらどうです?
あ、勿論、“頂いた”物ですから私も食べますけどね」
「ん、まあ、冷蔵庫に入れといて?じゃあな、戻るから」
「あ、はい、有り難うございました」
軽くくわえられてクリームを舐め取られた人差し指を見つめた。……はぁ。何だか自分がした事とは言え、ドキドキしちゃった。陽佑さんに…指を…。…これだ。こういう事、何も考えないでパッとしちゃうから…まずい事になるんだ。…わざとした訳じゃないけど。変に思ったかな…。
ふぅ、冷たい飲み物じゃなくて、ケーキを食べるなら温かい物が飲みたいかな…。
コンビニに行ってこようかな。そりゃあね?前に行けば、バーなんだし、お湯とか珈琲とかも何不自由なくあるんだけど…そこは、離して考えないとね。
着替えてるし、裏から出た遠くないところにある。ちょっと行って来よう。
鍵と財布を手に外に出た。
コンコン。…ん?
「梨薫ちゃん?…あれ。梨薫ちゃん?」
寝てんのか?…居ないのか?明かり点いてるけどな。…寝たのか?
「入ってもいいかな〜?」
だから、ほら、居ないって。見渡すほど広くない部屋だ。開けた途端居ないって解る。
折角、珈琲入れたのにな。んー、さてはコンビニにでも行ったか…。そうに違いない。置いとくか。
カチャ。
「あ…珈琲の匂い?」
部屋に戻ってドアを開けたら奥のテーブルの上に珈琲があった。
…陽佑さんだ。
まだ温かい。これは、頂かないと駄目よね。
近いところに居るには居るけど、裏からちょこちょこ顔を出すのもね、…メールにしておこう。
【タッチの差でした。コンビニに行って帰って来たら珈琲が…。涙、謝、嬉、喜。頂きま〜す。笑】
ブー、…。
…フ、ハハ。そんな事だよな、はぁ。