恋の人、愛の人。
「じゃあ、…よっと…ふぅ。俺、帰るわ」
陽佑さんは本当に直ぐ身体を起こした。
「はい、私も少ししたら帰ります。荷物を取りに来たので」
「そうか。あ、鍵は持ってていいから」
「え、でも、もう」
「いいよ。まだ誰と何があるか解らないだろ?…まあそれは冗談だけど。いいよ持ってて。
こんな場所でも、あって良かったと思う時があったら使えるだろ?
鍵は無くさないでいてくれればいいから」
…陽佑さん。
「はい、有り難うございます。では預かっておきます」
「ん。あ、悪いな、今日は、朝ご飯作れないぞ」
「いいんです。当たり前みたいに頂いてる私が駄目なんですから。今日は休みですから。
私も部屋に帰って通常の生活を取り戻さないと、です。だから、帰って寝て、起きたら自分でご飯です。ちゃんと生活に戻れるように買い物もしてあるんですから」
「…そっか。ふぅ…じゃあ、またな」
腰を上げた。
「はい、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。朝でも気をつけて帰れよ?」
「はい、有り難うございます」
「じゃ、変態のおじさんは退散します」
「…もう、ハハ、お疲れ様でした」
陽佑さんが帰ってから、身体が怠くなって来て、私はそのままこの部屋で眠った。
結果、自分でも驚く程、眠り込んでしまった。
目が覚めたらお昼も過ぎ、時間は2時になろうとしていた。一瞬、場所も時間も錯誤してしまいそうになった。陽佑さんのところだった。
あ゙ー、…寝た。もの凄く寝た。伸びをして起きた。最近は自分のベッドより、硬めのこのベッドの方が身体に馴染んできていたのかも知れない。
…はぁ…あっちこっち行き来して…やっとこれで落ち着く…。
よし。…帰ろう。
ベッドを整えて、部屋をあとにした。