恋の人、愛の人。
「最初の方。その後輩君は、今の彼?」

「…はぁ、違いますよ…そんな訳ないじゃないですか…。彼は居ませんから。
状況が状況だからもう仕方なく流れで泊めたというか、泊まったというか、なんです。彼じゃないです。
彼なら、諸々、問題ないことでしょ?」

「あ、あぁ、そうだよな。強引に泊まったんだ、向こうが」

「言ったじゃないですか。そんな感じです。でも最終的には私から許したのは確かです…」

「強引に泊まるって…それはとうに好かれてたんだな。業を煮やして攻め込まれた訳だ」

…。

「…そうなんでしょうか」

でも、彼女と同居…。

「何を聞いてる梨薫ちゃん…それを人は恋と言うんだよ?…ハハハ。
その後輩君は君の事が好きなんだよ。どう考えたってそうだ、解るだろ?
押しかけて来させるようにさせてしまった、梨薫ちゃんが罪なんじゃないの?
あ、何か別の作ろうか。アルコールじゃないから減りが早いだろ。普通に飲んじゃうからな」

…あ、本当だ。もうほぼ空いてた。

「クリーミーで爽やかと、フレッシュ、フルーツたっぷりと、どっちがいい?」

「んー、後者で」

「了〜解」

……恋かぁ…。大人になってする恋も、…思いはキュンと、切ないのかな…。好きで好きで堪らないって思い…。恋って言葉は、もう自分には爽やか過ぎる気がするけど…。
愛とも恋とも表現しないで、惹かれ方の別の言い方って無いのかな…。

「…はい。惚れられてる『可愛い猫』ちゃんに。ブシーキャットです、…どうぞ。
沢山飲みたくなるジュースだよ。
ところで後輩君てさ、いくつ後輩なの」

「…5個…」

「若。…あ、まあ、そこまでそうでもないのか…梨薫ちゃんが…32だっけ」

…はぁ。アルコール入りでお代わりしたい気分…。
ぐっと飲み干した。

「はいそうです。…お代わりください。ジンジャーエールで何か」

「じゃあ、シャーリーテンプルにしよう」

「それで、お願いします」

そうよ、五つも下の後輩。

「…はい。もうこれで今日はおしまいだ」

「…はい」

「…梨薫ちゃん、困ってたんなら電話、くれたら良かったのに。ピンチ過ぎて無理だったか。それとも、ピンチじゃ無かったから連絡する必要なかったか…」

それは…。

「陽佑さんに……架けようとして取り上げられました」

架けられなくもなかった。最後までタップしてたら架かってた。直ぐしてればね。

「そうか。架けようとしたんだ。
はぁ…やっぱ、言葉通りだろ?本当に危ない時は連絡なんて出来ないって…」

危険…か、…。んー。

「そうですね。身の危険に繋がる事でしたね」

て言っても、結局は泊めて、無警戒で呑気に寝てしまいましたから。挙げ句、写真のような事に…なってた。
それ以上に何かあったとしても自業自得な部分、大でした…。
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