恋の人、愛の人。
「そういう言われ方は…何だか…」
嫌だ。めでたしめでたし、なんて…。
「別に、問題なく上手くいってるんだろ?」
「…はい」
そうだけど。
「だったら、めでたしめでたしでいいだろ。そこに別に意図はないつもりだけど?」
…なんか変。…棘がある。
「あ、…これ、遅くなりましたけど、バスタオルです。有り難うございました」
何だか…これだけでも早く返しに来ていれば良かった…。黒埼君の事を話すついでにしてしまったようで。…感じが悪い。
「…何か飲む?」
「…あー、では、アルコール抜きで何かお願いします」
「ん」
…何となく、ほんの少しでもお酒の匂いをさせて帰りたくないと思った。黒埼君が居るのにほろ酔いで帰るのか、酔って帰る事は隙を作ってしまう、そう陽佑さんに思われたくない。
「…はい。モスコミュール」
「え?違っ、駄目です」
「の、ウォッカ抜きだ」
「あ、はい…有り難うございます」
ジンジャーエールが飲みたいと思っていた。…伝わったのかな。
「今、甘ったるいのは嫌だっただろ?だから、これ。これも少しは甘みが足してあるけどな」
あ。…。はい、確かに。でもジンジャーエールには違いない。
「…好みって、好きになったら集中的に好きになるみたいです。私、今、ジンジャーエールが好きなんです。…季節柄ですかね…」
「…フ。部屋に帰るのか?」
「…え?はい。はい、帰りますけど」
どういう意味?
「裏の部屋…。使いたけりゃいつでも使うといい…ほら、…これ」
カチッとカウンターに置く金属の音がした。
「使う時は前と一緒だ。
どんなに支障がないと思っていても…飛び出さなきゃいけない時もあるかも知れない。許しあってない男と女が居るんだからな。
そんな時の避難場所だと思って持ってろよ。知らないだろ?黒埼君はここの事。
何かあった時、俺に連絡してる時間はロスタイムになるだろ?時間に寄っちゃ連絡が直ぐつかないかも知れない。
こうして置けば、連絡がつかなくても真っ直ぐここに来れる。
俺は…多分、この、今の梨薫ちゃんの状況の空気は読んでないと思ってる。…敢えてね。
今の梨薫ちゃんにはこれは必要ないはずだから。…そうなんだろ?
まあ…どうしようもない程の喧嘩でもして…、その時の行く場所があると思えばいいさ」
俺の部屋に…来てくれたっていいんだけどな…。
一緒に居る事は嫌じゃない、何となく馴れ合っているようなところ…解ってるんだ。
「陽佑さん…。一応、預からせてください。有り難うございます」
「ん。あ、なくすなよ?」
「…はい。解ってます」
「ん」
スーッと滑らせて手元に引き、握った。
嫌だ。めでたしめでたし、なんて…。
「別に、問題なく上手くいってるんだろ?」
「…はい」
そうだけど。
「だったら、めでたしめでたしでいいだろ。そこに別に意図はないつもりだけど?」
…なんか変。…棘がある。
「あ、…これ、遅くなりましたけど、バスタオルです。有り難うございました」
何だか…これだけでも早く返しに来ていれば良かった…。黒埼君の事を話すついでにしてしまったようで。…感じが悪い。
「…何か飲む?」
「…あー、では、アルコール抜きで何かお願いします」
「ん」
…何となく、ほんの少しでもお酒の匂いをさせて帰りたくないと思った。黒埼君が居るのにほろ酔いで帰るのか、酔って帰る事は隙を作ってしまう、そう陽佑さんに思われたくない。
「…はい。モスコミュール」
「え?違っ、駄目です」
「の、ウォッカ抜きだ」
「あ、はい…有り難うございます」
ジンジャーエールが飲みたいと思っていた。…伝わったのかな。
「今、甘ったるいのは嫌だっただろ?だから、これ。これも少しは甘みが足してあるけどな」
あ。…。はい、確かに。でもジンジャーエールには違いない。
「…好みって、好きになったら集中的に好きになるみたいです。私、今、ジンジャーエールが好きなんです。…季節柄ですかね…」
「…フ。部屋に帰るのか?」
「…え?はい。はい、帰りますけど」
どういう意味?
「裏の部屋…。使いたけりゃいつでも使うといい…ほら、…これ」
カチッとカウンターに置く金属の音がした。
「使う時は前と一緒だ。
どんなに支障がないと思っていても…飛び出さなきゃいけない時もあるかも知れない。許しあってない男と女が居るんだからな。
そんな時の避難場所だと思って持ってろよ。知らないだろ?黒埼君はここの事。
何かあった時、俺に連絡してる時間はロスタイムになるだろ?時間に寄っちゃ連絡が直ぐつかないかも知れない。
こうして置けば、連絡がつかなくても真っ直ぐここに来れる。
俺は…多分、この、今の梨薫ちゃんの状況の空気は読んでないと思ってる。…敢えてね。
今の梨薫ちゃんにはこれは必要ないはずだから。…そうなんだろ?
まあ…どうしようもない程の喧嘩でもして…、その時の行く場所があると思えばいいさ」
俺の部屋に…来てくれたっていいんだけどな…。
一緒に居る事は嫌じゃない、何となく馴れ合っているようなところ…解ってるんだ。
「陽佑さん…。一応、預からせてください。有り難うございます」
「ん。あ、なくすなよ?」
「…はい。解ってます」
「ん」
スーッと滑らせて手元に引き、握った。