恋の人、愛の人。


「黒埼君、部屋はどう?どんな感じ?」

「すみません。まだめぼしいのが見つからなくて」

「あのね…」

「先延ばししようとか、してる訳じゃないです、解ってます。見つからなくても、期限には退散しますから、そこは守ります」

「でも、いいの?」

「いいも何も、それが約束だ。梨薫さんだって、期限過ぎてまでは駄目だって思ってるでしょ?…過ぎても…居ても構わないなんて、本末転倒だ」

そうよね…。

「どうしたんです?」

「え?」

「今日は…なんて言うか、センチメンタルな日なんですか?」

ごそごそ動いて身体を起こして座った。

「女性的な事でって事?」

「…まあ、はい。そういう話、聞いた事があるし」

「…今日は…違うけど。どうなんだろう、確かに気分の周期はあるらしいけど、私は…あまり意識した事はないの。何かあった時の、特に嫌な事があった時、その理由を全部そういうモノのせいにしたくないのよね。
ただ、…何となく、なんだろうって、意味なく落ち込んだり、涙が出る日は、そうなのかも知れないけどね」

「梨薫さん。ちょっと、こっちに来てください」

「え?…うん」

布団の近くまで行って膝をついて座った。つまり正座をした。

「何?」

「…あ、…DVDを最後まで観た記憶はありますか?」

「うん?映画?あれはちゃんと観たじゃない。…でも、エンドロール前から観てないかもよね。
本編が終わってCMとか…ごめん、そこら辺で寝ちゃったんだよね?
それで、黒埼君が、重いのに運んでくれたんでしょ?ごめんね。起こしてくれたら良かったのに。有り難う」

はぁ…、あの“告白”の存在も知らないようだし、やっぱり見てはないようだな。ふぅ。

「起こす訳ないでしょ?俺にもたれて寝落ちしたんだから、そこは俺だって、少しくらい美味しい思いをさせて貰わないと」

「え?」

「…あれや、これやと…チャンスじゃないですか」

「えっ?ちょっと、何かしたの?」
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