あの日みた月を君も
2.夢
2.夢の月



「へー、じゃ新しく入学した学生って、リョウのクラスの一クラスだけってこと?」

「そうなんだってば。本と最悪。友達選ぶも42人しかいないんだから。しかもそのうち女子は20人だけ。」

「まじでぇー?」

親友のショウコが目を丸くしながら、ストローでコカコーラを吸い上げた。

ショウコは、市内の公立高校に入学した。

本当は私もそこに行くはずだったのに。

「でもさ、リョウの行った高校ってめちゃ偏差値高いし、女友達が今ひとつでもここで彼氏でも見つけちゃえば玉の輿に乗れちゃうかもよー。」

私は自分とは違って生き生きと高校生活を楽しんでるショウコのつるんとした頬を見ながらため息をついた。

「大した男子はいないわ。」

「嘘。頭いい男子ばっかじゃん。少しはイケメンもいるんじゃない?」

ショウコはニヤニヤしながら身を乗り出した。

イケメンねぇ。

確かに、あの大山ヒロって子は頭もいいし、それなりの顔持ってるけどさ。

大体、月が趣味なんて。

男のくせに何ロマンチストぶってんのよって感じで気持ち悪いし。

そりゃまぁ、私も月は好きだけど、女だし。気持ち悪くはないでしょ。

「ちょっとー。ひょっとしてイケメン思い出してんじゃないの?」

ショウコは嬉しそうに私に肩をぐいぐい押しつけてきた。

「見た目はまぁまぁの男子は一人いるけどさ。」

「え?」

ショウコの目がきらっと光る。




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