愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「あんなに華やかなパーティなんて初めてで、ちょっと驚いてしまったの。いつもならば、大抵のことでは動じないはずなんだけど。……海斗が突然現れたせいでもあるかも」

彼の最後の笑顔でも思い出したのか、彼女が悲しげな顔になる。

「今になって後悔してないか?彼に言った言葉を」

尋ねると、彼女は首を横に緩く振った。

「彼の気持ちを知ったときは驚いたけど……海斗には幸せになってもらいたいから。愛していないのに、結婚なんてできない。誰よりも大切な人なの。かけがえのない存在だからこそ、愛のある結婚をしてもらいたいの」

まるで俺の気持ちを、告白する前から否定されたような気になった。
彼女の中では長澤ほどに大切な男など、これまでもこの先も、現れないかのように。

「そんなに彼が大事ならば、彼に許しを乞えばいい。すべては偽りだったと告げれば、彼は君に戻るだろう。彼も君を、誰よりも大切だと思ってる。相思相愛じゃないか。俺のことはいいから」

自分の中にある、感じたことのない感情が爆発して、口から思ってもみない言葉が、勝手に吐き出されていく。

「私は彼を愛していないの。無責任なことは言わないで。私たちのことを、なにも知らないくせに」

瑠衣が彼のために、その身を引く決意をしたことはわかっている。
ずっとそばにいた長澤の存在を、もしかしたら永遠に失うことになろうとも、自分の気持ちを貫いた。

愛情を超えた絆が、ふたりの間に見え隠れする。

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