愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「奏多さんの本気のデート、楽しみです」

だけど今だけは、せめて夢を見させて。
いつかあなたが、愛する人をエスコートするように、今は私だけをその瞳に映してほしい。

「その笑顔は……反則だな。気持ちまで本気だと錯覚してしまう。瑠衣は、演じてるだけなのに」

彼の指が、私の指に絡まるように動く。

「奏多さ……」

「奏多さま。着替えの準備ができております。お急ぎにならないと、お時間が……」

急に背後から聞こえた声にビクッとなり我に返る。

「あ?ああ……わかった」

どこからか現れた伊吹さんに、奏多さんは言う。

「時間って?なにかあるの?」

ふたりのやり取りに、思わず尋ねた。

「今からパーティです。奏多さまの婚約者お披露目会が執り行われます」

「は?」

なんのことかわからずに固まる。

「さっき言ったよね。親戚中が騒ぎだしていると。面倒くさいから、瑠衣を紹介することにしたんだ」

それはさも当然であることのように、彼は軽く説明する。
だけど私は、初めて会った日と同じように、驚きで動けなくなってしまった。

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