愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
すると彼の顔から意地悪な笑みが消えて、悲しそうな表情になった。

「違うの?俺を好きになったわけじゃないのか。……まだ、幼なじみのことを考えてる?だとしたら、変身した自分を、彼に見せたいと思うよな」

「えっ……。あの、そんなことは」

「本当は俺のためじゃなくて、彼に釣り合うようになりたかったんじゃないのか」

彼の予想外の反応に、私はどう答えたらよいものかわからなくなる。

もしも私が好きだと告げたなら終わってしまうはずなのに、どうしてそんなことを言うのだろう。

大きな扉の前で、ふたりで足を止めた。

「この先はパーティ会場だ。最後のチャンスだよ。やめるなら今しかない。幼なじみの彼に、その姿のまま会いに行くかい?」

奏多さんの瞳の奥に、嫉妬の炎が燃えているような気がする。だけどさすがにそれは図々しいと思い直し、考えを打ち消した。

「……奏多さん、違うわ。そんなこと、考えてもみなかった」

「……なーんてね。わかってるよ。よかった。もしも本当にそうだと言われたら、今日の俺は、とんだピエロになるところだったよ。彼を呼ばなきゃよかったと、死ぬほど後悔する羽目になる」

彼は楽しそうな表情に戻って言った。

「彼を呼ぶ?誰のこと?」

私が聞き返した瞬間、奏多さんは目の前の扉を勢いよく開いた。

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