愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「さあ、行こう。俺たちの未来の第一歩だ」

差し出された手を掴み、私は彼のエスコートで階段を下りた。

そんな私たちの様子を見つめる人々は、百人はいるだろうか。
誰もが皆正装で、これは本格的なパーティなんだとあらためて思う。

その中にある若い女性のグループからの、私に対する視線は、『どうしてあんな子が』とでも言いたげで、汚いものでも見るようだ。

だがそれに反し私は、雲の上を歩いているような気分で奏多さんの隣にいた。
初めて味わう優越感と緊張感。
自分が別の誰かに生まれ変わったように感じる。
まるで奏多さんに、心から愛される、幸せな女性であると。

階段を下りきったあと、伊吹さんが奏多さんにマイクを手渡した。
奏多さんは周囲をサッと見渡してから、マイクを片手に話す。

『月島グループ各社の皆様、月島一族の皆様。今夜は、私事でお集まりいただきまして、ありがとうございます。今日は皆様にお伝えしたいことがあります。日ごろより、私が良縁に巡り会えないのではないかとご心配をいただきまして、これまでに多くの方からお気遣いをいただきました』

私はドキドキしながら、繋いでいる彼の手をギュッと握っていた。

『ですが、今夜は私にとって大切な女性を、皆様に紹介させていただく機会を持つために、親睦会を兼ねてこの会を計画いたしました。彼女の存在を知っていただくことで、今後一切の縁談をお断りするために』



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