1日10分、俺とハグをしよう


「…そのカラ元気」


「え」


「さっきから、無理して笑ってんの、バレてるから。」





…文化祭で迷惑をかけた

今だって、わざわざ家まで送ってくれて、志摩くんのカーディガン濡らしちゃってるし


泉とのこと、志摩くんは知ってるから


だからこそ、心配かけないように振る舞ってたのに。




「…そっかぁ」




…バレちゃってたか…




「…ねぇ、泉は、あの綺麗な子と付き合い始めたのかな」


「…」


「もしそうだったら、私は早く諦めなくちゃいけないのに、」


「早乙女さ、」


「泉のこと見ると、どうしたって好きって思っちゃう。」




…悔しい…




じんわりと溜まっていく涙が流れないように我慢をする


…その瞬間、志摩くんの腕がそっと伸びてきた


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