人間複製機
ナオが複製されるまでの1分間にあたしはウキウキしっぱなしだった。


この計画がうまくいけば陸人はナオから離れて行くだろう。


幻滅して大嫌いになるかもしれない。


そう思うとワクワクせずにはいられなかった。


ナオの話ばかりをする陸人なんて、あたしはいらないんだから。


ピーッピーッと機械音が聞こえて来てついにナオの複製が完成した。


複製機から出すと等身大のナオになる。


ナオはキョロキョロと周囲を見回して首を傾げた。


「ナオ、今日はこれから陸人とデートだよ」


そう言うとナオは目を丸くし、それから頬を赤らめた。


「あたしが陸人とデート?」


「そうだよ。約束場所は駅前。4時には到着してないといけないから、早く着替えないと」


「でも、あたし服なんて……」


「貸してあげる!」


そう言い、あらかじめ用意していた服を渡す。
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