人間複製機
数十分ほど歩いたところで弘樹が立ち止まった。


眼前には小さな一軒家が建っている。


2階建ての庭付きだ。


「へぇ、可愛い家だね」


「母親の趣味なんだ」


弘樹はそう言い、カバンから鍵を取り出して玄関を開けた。


「誰もいないの?」


「この時間はまだ誰も帰ってきてないんだ」


そう言って玄関を上がる弘樹。


家の中からは家庭の匂いがしてきた。


あたしの家とは違う香り。


小さな玄関には小人の置物が置いてあり、全体的に可愛い雰囲気の家だった。


「こっち」


弘樹に案内され、あたしは2階へと上がって行った。


2階は2部屋あり、手前の部屋が弘樹の部屋だった。
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