人間複製機
あたしは大きく頷いた。


だって、これだけじゃまだ弘樹が嘘をつているかもしれない。


CDは元々2枚あって、なにか手品の要領で複製したように見せかけるのだ。


それこそ、最初柚香が言っていたマジック商品というのが正解かもしれない。


弘樹がCDをデッキにセットしている間、あたしは複製機を調べていた。


箱の中。


箱の下。


スイッチ。


どれを確認して見ても、ただの箱にしか見えない。


2重底になっているのかと思ったけれど、それも違った。


一体どうなってるんだろう?


そう思っている間に、聞きなれた歌声が聞こえて来た。


間違いない。


これはあたしも持っているCDと全く同じものだ。
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