人間複製機
「今度はこっちもかけてみて」


CDを少し聞いたところで、あたしは複製前のCDを弘樹に渡してそう言った。


弘樹は頷き、CDを変えてくれた。


流れてきたのは全く同じ音楽だった。


「CDを2枚買った?」


あたしの質問に弘樹は笑って「いいや」と、否定した。


本当だろうか?


「そんなに疑うなら、君の持ち物を複製しようか」


そう言われてあたしはハッとした。


そうだ、それがいい。


あたしが持っているものなら2つ用意することもできないのだから。


「わかった。それなら、これを複製して」


あたしはそう言って鞄からペンを取り出した。

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