人間複製機
香りつきのペンで、今では販売が終了しているものだった。


男の弘樹が香りつきのペンを持っていることもないだろうから、丁度いい。


「いいよ」


そう言って弘樹がペンを受け取ろうとしたので、あたしは手をひっこめた。


「今度はあたしがやりたい」


「なんだよ、俺って信用されてないんだなぁ」


弘樹は少し傷ついたような表情を浮かべたが、別に誰が複製機を使っても問題はないようで、すぐに場所をどけてくれた。


蓋を開け、中に何も入っていないのを確認してペンを入れる。


そして赤いボタンを押した。


1分間がやけに長く感じられる。


本当にあたしのペンは2本になるんだろうか?


期待と不安が入り混じっている。


CDが止まると同時に、ピーッピーッと音が鳴った。


あたしはゴクリと唾を飲みこむ。
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