人間複製機
あたしの手の中にあるペンは本物が2本あるのと全く同じなのだから。


複製された方のペンは最初熱を持っていたけれど、徐々にそれも薄れて行った。


これでもう、どっちがどっちかあたしにもわからない。


あたしは箱を見つめて欲しいと感じた。


ぬいぐるみや服なんかの非じゃない。


この複製機を手に入れるためならなんだってできる気がした。


そんなあたしの気持ちを読み取ったかのように「欲しい?」と、弘樹が聞いて来た。


あたしはゴクリと唾を飲みこんで「欲しい」と、返事をした。


「そうだよね。マキはなんでも欲しがるもんなぁ。ぬいぐるみだって、お金だって」


弘樹はそう言って笑い声を上げた。


それはバカにされているようであったけれど、この複製機を前にして何も感じることはなかった。


とにかく、この箱が欲しい。


自分のものにしたいという強い欲求が生まれて来る。
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