愛しのエマ【完】
うな重を完食し
副社長が「そ茶を入れますね」と、立ち上がろうとしたので、私は満足した胃を押さえながら「自分が入れます」と、慌てて立ち上がる。
そ茶って……お茶だよね。
部屋の隅にカウンターがあり
エスプレッソメーカーとティーマシンを発見。
豪華だなぁ。
総務部にも欲しいな。
「お弁当美味しかったです」
お世辞でも言われると嬉しい。
「奈緒さん。いつも抱きついて、ごめんなさい」
「えっ……いえ。大丈夫です」
私に向かって丁寧に頭を下げるので
恐縮しちゃう。
緑茶のいい香りに癒されながら
私は副社長の前にお茶出して座る。
「エマさんというのは、副社長の恋人ですか?」
「はい。最愛の彼女です」
窓の外を見ながら遠い目をする。
そんなに好きなんだ。
「私に似てますか?」
「はい。ふん……ふん……ふきんき……ふいいき……ふん……ふ……」
雰囲気ですね。わかります。
「ムードですか?」って聞くと「はい。そうですそうです」と、くしゃっとした笑顔を見せた。
あ、ヤバい
魅力的な笑顔。