アウト*サイダー
知らずケイのことを窺っている私に、彼は不思議そうに首を傾げて「美味いね、これ」と当たり前のように二口目、三口目と食べていた。
私は膝の上の弁当箱からポテトサラダをかっさらっていくケイの横顔をひたすらに黙って睨む。
そうしないと、嬉しくてにやけてしまうのが表に出てしまう。
私が作った物を喜んで食べてくれるのが、こんなにも嬉しいなんて。そう思って不意に、店での両親がイキイキした顔で働く姿を思い出し、こういう事なのかと納得していた。
「ハスミ」
名前を呼ばれて、ぼーっとしていたことに気付く。それから……
「ほら……口、開けて」
異常なくらいの近距離にケイがいて、私の顎に手を添え、もう片方の手にある箸を近づけさせていた。
しかも、そのわざとらしく妙にえっちな響きを持たせた声に私の脳が咄嗟に危険信号を送り……
ケイの頭に私の石頭をお見舞いしてやっていた。