アウト*サイダー

「っ!? テェ……っ」

 くらったケイもだろうが、くらわせた本人だってめちゃくちゃ痛いんだから!

「高校生があんな卑猥なことするな!!」

 自分の怒鳴った声だってキーンとして、頭を抱える。

「何、ヒワイって? 俺はただアーン、てして欲しいのかなって思っただけなのに」

 おでこをさすって口を尖らせるケイは男版小悪魔だ。こいつは本当に理解不能男だ。いや、前々から知ってたけども!

 もう怒りすぎて一気にエネルギーを使い果たした。ケイに奪われたままだった箸を取り返して、残っていた弁当を早々と平らげる。

 一刻も早く、こいつから離れねば。

 一刻も……

 早く…………

 離れ………………

 非常階段から校舎の中に入り、教室に向かっていた私……の、制服のベストが後ろに引っ張られている。振り向かずとも犯人は分かりきっている。面倒だけど……至極、面倒だけど一喝しないといけないようだ。

「あのねぇ、ケイ……」

 振り向いた瞬間、私は途方に暮れた。

 この感覚は前にもあったっけ。

 いや、彼の前では今までの常識が全くもって通じないことを、私はいい加減に覚えなければならない。
< 110 / 466 >

この作品をシェア

pagetop