アウト*サイダー
「っ!? テェ……っ」
くらったケイもだろうが、くらわせた本人だってめちゃくちゃ痛いんだから!
「高校生があんな卑猥なことするな!!」
自分の怒鳴った声だってキーンとして、頭を抱える。
「何、ヒワイって? 俺はただアーン、てして欲しいのかなって思っただけなのに」
おでこをさすって口を尖らせるケイは男版小悪魔だ。こいつは本当に理解不能男だ。いや、前々から知ってたけども!
もう怒りすぎて一気にエネルギーを使い果たした。ケイに奪われたままだった箸を取り返して、残っていた弁当を早々と平らげる。
一刻も早く、こいつから離れねば。
一刻も……
早く…………
離れ………………
非常階段から校舎の中に入り、教室に向かっていた私……の、制服のベストが後ろに引っ張られている。振り向かずとも犯人は分かりきっている。面倒だけど……至極、面倒だけど一喝しないといけないようだ。
「あのねぇ、ケイ……」
振り向いた瞬間、私は途方に暮れた。
この感覚は前にもあったっけ。
いや、彼の前では今までの常識が全くもって通じないことを、私はいい加減に覚えなければならない。