アウト*サイダー
暫く、薄暗い保健室で見つめ合い続けていた。
この奇妙に流れる時間を言葉には言い表せない。
もしかすると、今の私が思い付かないだけか、はたまた未来の私だって同じなのか。
保冷剤を直で触っている手が痛くなってきた。
彼の所に戻って椅子を寄せて腰かけ、ハンカチで包んだ保冷剤をケイの赤くなったおでこにあてがう。ついでに、鼻のティッシュも抜いてあげる。
「はは、息がしやすくなった」
くぐもっていた声が元に戻った。
「だろうね」
少しだけ遠い所にあったゴミ箱へティッシュを投げ入れる。一発で入った。
「うん。それに、冷たくて気持ちいい」
彼は軽く目を閉じて言った。
「そりゃ、良かった」
私は彼の長い睫毛の一本一本の隙間を見ながら呟く。
「俺と付き合おっか」
瞼を開けた彼のその瞳の中に私を見つけた。
「どさくさに紛れようとすな」
私はそれから目を背けた。
「……何のこと?」
わざとらしい、とぼけた顔にイライラする。