アウト*サイダー

 意味があるようでないような会話。そもそも、高校生の私達に意味なんてもんは後付けでしかない。

 意味なんて、何一つわかってない。

「私に、理想を求めないで」

 薄暗いと思っていたら、電気が消されていた。だから、窓の外はあんなに明るいのに、ここだけ暗く見えていたのだ。

 先生がいないのも出掛ける用事があって、ここを閉めるつもりだったのが鍵をし忘れたんだ。

「……俺の理想を勝手に決めつけるなよ」

「えっ?」

 私の思考を邪魔してくる、低い声。

 ある程度の距離を保っていたのに、頭と背中に回された手で容易く壊された。

 ヒヤリと私の額に伝わってくるのは、ケイにあてがっていた保冷剤だ。

 下手に動けない。動いてしまえば数センチ先のケイの唇に触れてしまう。息もしづらい。え、死ぬの、私。

「ぁ、あの、ケイ……?」

 心音が速くなって、喉がきゅっと締め付けられる。私がこんな状態にも関わらず、ケイは軽く目を閉じて、緩く弧を描く口角に余裕綽々の態度。不公平だ!
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