アウト*サイダー

 嬉々として振り向いたリョウスケの横顔が、すぐに固まった。急に変わった、重い空気を察してケイに目をやれば、まっすぐに向けられていた目とかち合う。

「ハスミの家のこと、リョウスケはよく知ってるんだ?」

 口元だけを無理に上げた彼の笑みに、感情のない瞳に、私の口から言葉が出てこなくなった。

「いやいや! ケイ、俺は別に、成り行きっていうか、話の流れでハスミの家が飲食店やってるのを聞いただけで……」

 隣にいるリョウスケの声が聞こえているはずなのに、全く聞こうとしないケイは、私からも目をそらした。

 その瞬間に、ぎゅっと締め付けられた痛みと、後から沸いてきた怒り。

「そう。それが何?」

 リョウスケが頭を抱えるのも、ケイの眉間に皺が寄せられたのも見えたけど、黙っていられなかった。

「そんなことで、またいじけて私を無視して遠ざけるつもり?」

 何も言わずに私を見下ろすケイの目は、いつもと違う。優しさがなくなって、ただ冷たい。それでも私は負けじと見つめ返す。
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