アウト*サイダー
彼の言う通りに黙った私に、ケイは笑みを深めた。そして、私の顔にかかっていた髪を耳にかける……時に、触れた手に体がビクッと反応して戸惑う。
何だろう、今の。くすぐったくて、でも、それだけじゃない。全身に伝っていく感覚に痺れる。
その反応を見ていた彼が、意味深に笑った。
「やばいな……そんな風にされると、本当にキスしたくなる」
なんて理不尽なんだ!?
黙ればしないって言ったのに!
「ハスミが悪い。だって、また俺を困らせようと、そんな顔をする」
ケイの言う、その困らせる顔がどんなものか見当もつかないから直しようがない。彼の言うことはたまに意味不明で、私の方が困る。
なので、とりあえず頬っぺたに両手を押し当てて変顔をしておいた。
すると意外に彼のツボに入って、誰も居ない廊下に彼の笑い声が響く。目を細め、歯を見せて笑うケイにホッとした。
「ちょっと笑いすぎじゃない?」
「くくくっ……だって……あはは!」
変顔のまま彼を見上げる私にお手上げだとばかりに、私を抱き寄せて……
「ごめん、意地悪して。でもキスしたいのは本当。はぁ、ハスミが俺のこと好きになる薬でもあればいいのに」