アウト*サイダー

 来る度にケイは尋ねる。壁にもたれかかった彼を見上げる。目が合えば、柔らかい笑みを浮かべて私の手を握った。ケイにしてほしいことは一つ。

 傍に居てほしい。

「病人じゃないんだから、そんなに気遣わなくていい」

 我が儘を言って良いなら、私をすっぽり包んでしまうケイの腕の中にいたい。

 ……まぁ、こんな所でうっかり口を滑らしでもすれば、その後の流れは予想がつく。ケイに冗談は通じないのだから。

「ハスミこそ俺に気遣わずに、何でも言ってよ」

 私の手を指でなぞる。これはケイの癖なのかな? この間もやっていた気がする。

「まじで、宮永ってハスミン一筋だよね」

 篠田さんが二つに割ったオレオの、クリームが付いてない方ばかり奪い取って食べていた須賀さんは、面白いものでも見るようにケイを見て言った。

 丁寧にオレオを剥がしていたのを取られても別に怒ることもなく、篠田さんは黙々とその作業をしながら「女子に全然興味なくて、そこが逆に良かったんだけどねぇ」と呟いた。

 対するケイは、二人が話している声がまるで聞こえていないかのように黙ったままでいるので、私の方が狼狽えてしまう。
< 235 / 466 >

この作品をシェア

pagetop