シンシアリー
「・・・どうして、私がここにいると・・・分かったの」
「最初、姫様の御部屋へ行ったんですが、不在でした。それで住込執事たちの部屋へ行ったら、“だったら多分姫様は図書室にいらっしゃるんじゃないか”と聞いて」
「そぅ」
「部屋の前でお待ちしていれば良かったのかもしれませんが・・・せっかちな性分がこんな形で役に立ちました」
「助かったわ。ほんとうに・・ありがとうユーグ」
「俺は貴女の護衛騎士ですよ」
「そうね」
「でも、もう少し来るのが遅かったら、俺は・・・」
「でもあなたは来てくれた。さっきも言ったけど、あなたが助けに来てくれる。ユーグは必ず来てくれると、私は信じていたの」
「痛かったでしょう。まだ指痕が残ってる」
「弟、異母弟は・・精神が安定していない。あの子は、病気だわ」
「病気・・・!」

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