シンシアリー
「あの時から、どことなく疑問が湧いていました。酸味にしては強すぎると。ある日、ついに国王様は、レモネードを飲めなくなってしまいました。それほど健康を害してしまっていたのです。一度味見をしたのはそれ以前のことだったので、私も代わりに飲む気にはなれません。ですから、作ってくれた方には申し訳ないけど、バルコニーにある植木にかけて捨てることにしました。その前に、召使のイリーナにその旨を伝えて、“せっかく貴女が毎朝作ってくれているのに。ごめんなさいね”と謝罪をしました。すると、イリーナはこう言ったのです。“レモネードを作っているのはデュ・ラスさんで、私はこちらにお持ちしているだけなんです。なんでも、その作業は召使の誰にも任せることができないと仰って”と」
「僕はおかしいと思った。何故なら以前“レモネードを作っているのは召使のイリーナだ”と、プリヤから聞いたことがあったからだ。プリヤ、おまえに対する不信感が本物になった瞬間だった。だからその日以来、僕はおまえが作ったレモネードを飲んではいないんだよ。代わりに、レティシアが調合してくれた解毒剤を毎朝飲んでいたんだ」
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