君の彼女を僕にください
杏に振り回されながら、途中で琴美も合流して、3人でお店を回った。
「ヤバイ、甘いの食べすぎた!!」
琴美がお腹をさすりながら、もう無理った顔をしてる。
「クレープとアイスと団子とか、マジないから!」
杏が呆れた顔で言うと、
「だって〜~、選べなかったんだもん!」
なんて、食いしん坊発言。
それでも太らないから、本当に不思議。
琴美曰く、ピアノは意外とカロリー消費するから大丈夫!!
だって。
笑いながら歩いていると、自分のクラスに戻ってきた。
「そろそろ終わりだよね?まだ混んでるかな?」
実行委員というのを思い出した私は、クラスの様子が少し気になりはじめていた。
ドアから顔を覗かせると、受付に笑顔の稜が居る。
「いらっしゃい……おお、おかえり」
営業スマイルから一転、一気に普通の顔に戻る稜は、役者バリに凄いと思う。
「まだ混んでる?」
「いや、もう落ち着いてる。そろそろ終わりだしね」
クラスの中を見回してみると、数組のお客さんが座っているだけだった。
コスプレした聖也が、ホールを見回してる。
悔しいけどカッコイイな……。
「聖也、コスプレ似合ってんじゃん」
横からヒョコッと顔を出した杏は、弟を見る様な目で見ていた。
「聖也って、他のクラスの女子に人気あるよね~~」
さっきお腹いっぱいって言ってたのに、またどこからかチョコを持ってきて食べてる琴美。
ってか、どっから出てきたんだよ、そのチョコ。
相変わらずの琴美の食い意地に、なんだか笑えてくる。
当の琴美は、チョコを頬張りながら、教室の中に入っていった。
確かに、聖也は入学してからよく女の子に告白されてるのを、見かけたりしてた。