君の彼女を僕にください
ちょっと、近い……
冗談っぽく逃げようとした瞬間、
「悠真、なにサボってんの?」
そう言いながら、聖也が悠真を引きはがす。
「えーー、蒼にちょっかいかけてたーー」
「早く仕事しろって!」
笑顔でいながらも、2人とも目が笑って無いように見えたのは、私の気のせい?!
「蒼の旦那様に怒られちゃったーー」
私に対して、ニヤッと目配せをすると、聖也の耳元で何かを話し、ヘラヘラ笑いながら仕事に戻って行った。
『旦那じゃないからっ!!』
そう否定する間もなく、去っていく悠真。
その背中を、ただ呆然と見ていた。
「悠真の宣戦布告ね」
声のする方を見ると、制服に着替えた杏が腕組みをしながら頷いている。
「えっ?」
「アンタは気にしなくていいの」
笑いながら聖也の方を向いた杏は、
「早くしないと、取られちゃうぞ~~」
そう言って、私の手を取りグイッと引っ張っていく。
「えっ?!ちょっと……」
「他のクラスをまわってみよう!」
楽しげに話す杏とは裏腹に、大きくため息をついた聖也は、仕事にもどっていった。