ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「それはまだ話せないな」

と肩を竦めて首を振る所長。

「えーっ!そんな、どうしてですか!」

ここまで盛り上げといて話さないなんて、人が悪いよ所長ぉ~。

「ちゃんと形になってから話したいんだ。明日から研究所に泊まり込みで煮詰めるからさ!」

と言うが早いか、慌ただしくベランダから部屋の中へと入っていく所長。

「おーい、旅行カバンって何処だったっけ?」

と頭を掻きながら声を上げる所長。

「寝室のダンボールのどれかよ。後で片付ける時に出しておくわ」

とキッチンから振り返ってくる奥さん。

「パパー、お出かけ?」

とぬいぐるみ片手に愛ちゃんが和室から出てきた。

「明日からね。しばらく帰って来れなくなっちゃうんだ。寂しくなるけど、ゴメンね」

と頭を撫でられた愛ちゃんが、意外にもニッコリと笑みを返した。

「ううん平気。だっておねえちゃんが遊んでくれるもん。ねぇねぇ、あしたも遊びに来てくれる?」

とネダられたミライがこっちを向いて、同じようにネダってくる上目遣いで見つめてきた。

「…別にいいんじゃないかな。こちらにご迷惑でなければ」

断る理由はないので、奥さんに目を遣った。
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