ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
 控え室の奥からコーヒーカップを二つ手に持って、所長が戻ってきた。

「あれから考えたんだよ」

とカップを机の上に置きながら椅子に腰掛ける所長。

「あれから?」

聞き返すと、所長がパッと目を合わせてきた。

「そう。君が言ったろ、センサーがどうこうって話しをさ」

それってマンションのベランダで話した、嬉しさを測るセンサーの事ですか?

「えっじゃあ見つけたんですか?嬉しさを測るセンサーを?」

椅子から身を乗り出して尋ねた。

「まさかぁ。さすがに無いと思うよそんなセンサーは。ボクが考えたのはね、センサーの方じゃないんだよ、ウン」

と、椅子に凭れてのんびりとカップを口へ運んでみせる所長。

「じゃあ、一体何なんです?」

じれったくて聞き返すと、所長が座り直して見つめてきた。

「うん。ミライは、暑さや寒さをセンサーで感じてそれに応じた行動を取るようにプログラムしてある。それはなぜなのか。ヒントはそこにあったんだよ」

とニヤリと笑う所長。

「どういう事ですか?」

全然ピンと来ないんですけど。
< 128 / 324 >

この作品をシェア

pagetop