ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「何ですか?」

まだ何かあるんですか?と、所長が咳払いを一つして口を開いた。 

「…実は、道路使用許可を取ってなかったりするんだ」

と肩を竦める所長。

「道路使用許可?」

なぜそんな話が?不思議に思って返すと、所長がじっと目を合わせてきた。

「日本でロボットを公道上で動かそうと思ったら、ロボット特区でもない限り、道路使用許可を取得する必要があるんだよ。警察に行ってね」

「け、警察に!」

じゃあ、その許可を取ってないって事は!

「警察に見つかったら捕まるって事ですか!」

「まあ、そういうコトだね」

って軽く返してきた。ちょっと、冗談じゃないですよ!

「何で許可を取ってないんですかっ」

と所長の胸を突いて聞き返した。と、所長が逆に胸を張って指を一本突き返してきた。

「考えてごらんよ。この子を街へ連れ出そうと思ったら、その度に警察に行って許可を取らなくちゃいけないんだよ。君の大学に連れて行くにも、昼休みに一緒に散歩に出掛けるにも、ちょっと買い物に連れて行くにも、その度にいちいち警察の許可を取らなくちゃいけない。そんなのおかしいとは思わないかい?」

と笑みを浮かべて問い掛けてくる所長。

「う、う~ん…」

確かに道路に出る度にいちいち許可を取るなんて面倒だ。頷いて返すと、所長がパッと両手を広げて見せた。

「これからロボットが実用化されてドンドン世の中に出て行こうって時に、そんな制度がある事自体がおかしいんだよ。だからボクは、敢えて犠牲になってでも世の中に提言を投げ掛けたいんだ。こんな規則なんか要らない、ってね」

と意気込む所長。いや、確かに分かりますよ、所長の気持ちは。
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