ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「ところでさ、どうしてボクが君を選んだのか気にならないかい?」

と、所長がフッと微笑んで尋ねてきた。

「えっ?ああ、何故ですか?」

生返事で聞き返した。

「ウン。君を選んだ理由はね、この子の預け方にあるんだよ」

と、所長が何やら意味ありげにニヤリと笑って、指を一本立てて突き出してきた。

(何ですか?)

指にグッと力が入ってますけど?

「君にはこれから一年間、この子と一緒に毎日24時間を共にしてもらおうと思ってるんだ」

「なっ!」

返す言葉に一瞬詰まった。

「に、24時間っ?!ちょっと待ってくださいよ!それじゃ大学の中だけじゃなくて、朝から晩まで寝ても覚めてもずっと一緒に居ろってコトですか?」

ってつまり、このロボットと一緒に暮らせって事ですか!

「そうそう、そういうコトだね」

ってまた軽く返してくる所長。ちょっと所長ぉ、イイ加減にして下さいよぉ。

「そんなぁ、ロボットと一緒に暮らすなんてオタクっぽい事、僕はイヤですよ。カンベンしてくださいよ」

正直な気持ちです。と、所長がフッと肩を竦めて首を振ってきた。

「イヤイヤ、そんな事を気にしてるんだったら、それは杞憂だね」

と、所長が真正面からまじまじと見つめ返してきた。

「これは、ただの機械好きが自分の満足の為にやってる事じゃない。これからの社会の為にやってる事なんだ。近い将来ロボットが世の中に出て行けば、介護してくれたり、警備してくれたり、危険な仕事をしてくれたり、その活躍の可能性は無限大にあるんだ。人々の生活を助け、暮らしに笑顔を与えてくれる人間そっくりのロボット。その先駆けとなるこの子の最終の耐久試験を、ボクらと一緒にやってくれないかって、君にこうして、この研究所を代表して頭を下げてお願いしてるんだよ」

う~ん、そんな風に言われると言い返し辛くなってしまう…。
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