ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「だけど、僕だってヒマを持て余してるわけじゃないんですよ…」

大学の中だけならまだしも、一日ずっと彼女に構ってなんかいられない。渋っていると、所長が僕の肩にポンッと手を置いてきた。

「この最終試験を一緒に乗り越えてくれる君の協力があって、初めて完成の日が来るんだ。君の協力が必要不可欠なんだよ」

とジッと目で訴えかけてくる所長。

「…そう言われたって」

今一歩気が進みません。

「どうしても僕じゃなきゃダメなんですか?」

確かめるように問い掛けると、所長がパッと両手を広げて声を掛けてきた。

「君がピッタリなんだよ。噂は聞いてるんだ。身寄りもいないし恋人もいない、大学以外に出掛けもしない。学問一途で世間知らず、一人暮らしで一匹狼、天涯孤独で自由自在。こんなにもこの耐久試験を任せられるピッタリな人材は、君以外にどこにもいない!」

って、ちょっと所長、褒めてるのかケナしてるのかどっちなんですかっ!

「とにかく、これからのボクらの研究には君みたいな人間が必要なんだよ。ロボットの事なんか知らない、人の行動ばかり研究してるような、君みたいな人間がね」

と所長が、僕の肩に手を掛けてじっと見つめてきた。

「君も学者の一人だったら、研究に欠かせないんだって言われて、まさか尻込みするような男じゃないだろう?」

ウッ…。鋭いトコロを突いてくる、この所長は。

「そりゃまあそうですけど…」

頷いて返すしかないじゃないですか。

「よ~し決定。じゃあこの子の24時間の耐久試験に了解って事で、この子を君に預けるから。週に一度はここに来てもらう事になるよ。期間は来年の三月一五日まで。契約書はあとで交わすよ」

とニッコニコの笑顔で肩をポンポンと叩いてくる所長。

(…何だか、まんまと乗せられたような)

所長の口車に上手く言い包められてしまったんじゃないのか、う~ん…。
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