ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「名称設定。確認しました。指示をどうぞ」

とミライ。どうぞと言われも。

「所長、次はどうすれば?」

パッと所長を振り返った。

「ノーマルモードで再起動、と言ってみてよ」

と微笑む所長の言葉を聞いて、彼女に向き直った。

「ノ、ノーマルモードで再起動」

「はい、ノーマルモードで再起動ですね」

「…YES」

「ノーマルモードで再起動に入ります…」

とフッと瞳から光が消え、しばらくの沈黙のあと、再びゆっくりと瞳に光が満ち始めた。

(おぉ…)

思わずたじろいで一歩下がって身構えた。が、しばらくじっと正面を見据えたまま動く気配がない。まるで全身に力が漲るのを待っているかのように、じっと…。

(!)

と、ミライの唇がピクンと動いた。

「タ、カ、シ…」

と、僕の名を一語ずつ呼んだあと、突然全身を震わせすっくと上へ伸び上がり、一歩ゆっくりと踏み出してきた。

「あなたがタカシ、私がミライ、ね?」

とミライが問い掛けるように自分と僕の名を呼んだ。ほんの少し小首を傾げて。

「ああそうだよ、ミライ」

答える自分がどうにも照れくさい。

「フフッ」

とミライが嬉しそうに微笑んで応えてくれた。これからの『未来』に希望をくれるような笑顔で。
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