ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「所長、ミライがいなくなったら、研究員のみんなはこれから何をするんですか?」

尋ねると、所長が片手で猫じゃらしを振りながら、遠くを見る目で研究室を眺めた。

「ちゃんと次があるよ」

「次?」

聞き返すと、所長がパッと振り向いた。

「二号機だよ。もう骨格まで出来上がってるんだ。後は君に預けたミライの試験経過をフィードバックさせながら、ちょっと嗜好を変えて仕上げていくつもりさ」

「嗜好を変えて?」

「そう。二号機は男なんだ」

なるほど、確かに嗜好が違いますね。

「…サイズは良さそうじゃない?見立て通りね」

と、奥に並んだロッカーの向こうから、女性の研究員と並んで服を着替えたミライが出て来た。フリルのブラウスにカーディガンを羽織ってパンツを合わせたスタイル。ミライのプロポーションの良さがよくわかる。

「おぉ~着替え終わったようだね、クワン」

と所長がミライの横にいる女性に声を掛けた。

(ん、クワン?)

という事は、顔では判らないけど、

「彼女、日本人じゃないんですか? 」

アジアの人?

「確かクワンは、西海岸のチャイナタウン出身だったかな。留学生で日本に来て、そのままここの研究員になったんだよ」

なるほど。こういう研究所では珍しくはないのかも。と、クワンがミライを引き連れてこっちへ寄って来た。
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