ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「所長どうです、私のコーディネート。中のブラウスのフリフリが可愛らしいでしょ」

とミライのカーディガンの前を大きく開けて見せるクワン。前身の裾から襟まで繋がる波打つフリフリが飾り立て、首元ではシルバーのジュエリーが輝いてる。

(へぇ、イイな)

これにテキストを詰め込んだ鞄でも持てば、そのままキャンパスにでも溶け込めそうな雰囲気。

「似合ってるよ。可愛さ倍増だね。それクワンの服かい?」

と所長の問いに、クワンが首を振って返した。

「いいえ、サイズを合わせて買ってきたんですよー。私こーんなにスタイルよくないです」

と照れるように手を振る彼女。細身だが確かにプロポーションではミライには敵わないかも。

「一号機と比べたら誰も敵わないですよ」

と、いつの間にか所長の隣の机に腰掛けていたメガネの研究員が続けて言った。

「この研究所の中でならね」

と皮肉交じりにおどけてみせるメガネ君。

「ひどぉい、本田君まで」

とクワンが言い返して、所長たち三人が楽しそうに笑い出した。

「よーしそれじゃあ、人込みの中でのミライの動作確認も兼ねて、ショッピングに出掛けようか」

と所長がパンッと膝を叩いて立ち上がった。
< 30 / 324 >

この作品をシェア

pagetop