ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
 翌朝。アラームの音で目が覚める。

「ん…」

いつもと見える光景が違う。

(そうか…)

パッと身体を起こした。ソファーから立ち上がって、引き戸をそーっと開けて覗き込む。ベッドの上には横向きに眠ったままのミライ。

(ずいぶん無表情な寝顔だな…)

こちらに顔を向けて、横向きにカラダを曲げてじっとうずくまっている。ピクリとも動かないまま。

(だ、大丈夫か?)

急に心配になってミライの肩を揺さぶった。

「んん…」

と声を上げゆっくりと瞼を開けるミライ。どうやら大丈夫みたいだ。

「おはよう。朝だよ」

声を掛けると、ミライの口元がゆっくりと動いた。

「おはよう…」

と気だるそうに上半身を捻って起こすミライ。が、ぼんやりと前を見つめたまま暫くじっと動く気配がなかった。瞳もどこを見ているのか焦点が合っていない感じ。

(頭の中が起動中、かな…)

パッと目覚めないところは、低血圧の美女のお目覚めって雰囲気を醸し出してる。

(これも所長の好みか…)

演出が好きな所長だよ。とやがてスッキリした顔になったミライが、パッと僕の顔を見上げてきた。口元に笑みを浮かべた愛らしい表情。と、ミライがスッと僕の手首を掴んで、ギュッと強く握り締めてきた。

「ん?なに?」

やけに手に力が入ってるけど?
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