ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「出てきた数値を見れば心の状態がわかる。逆に言えば、心の状態を『数値的に』表せるって事だろ?ボクが一番感心したのはそこなんだよ」

とスッと指を一本突き立ててくる所長。

(ん、何か言いたげだナ…)

所長の微笑みにピンと来た。

「ひょっとしてこの研究、ミライのココロに役立てられるんじゃないですか?」

心を数値で表せるんだから、それをキカイのココロに応用するのは簡単な筈!

「ムリだよ」

と首を振る所長。

「えっ…」

意外な答えに拍子抜け。

「無理なんですか?」

首を突き出して返した。

「そうだよ」

とワゴンに手を突いたままグッと身を乗り出して所長が言葉を続けてきた。

「よく考えてごらんよ。ミライのカラダには、君の研究の結果に表れたような脳波を出す脳も、それに反応する器官もないんだよ。ここでの研究結果を使おうにも使いようがない。違うかい?」

と微笑む所長。そうか、考えたら確かにそうですよね。

「…うーん、だけどなんかこう、惜しいですよねぇ」

人間の心の状態を数値で表したデータならここに山ほど蓄えてある。直接は使えないとしても、何か形を変えて上手く応用出来ないんだろうか…。

「気に入ったよ」

と、所長が突然呟いた。
< 49 / 324 >

この作品をシェア

pagetop