ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
(マイッタな…)

彼女はいっつも自分を押し出してくる。こっちが上手く応えてあげられればいいが、少しでもスカすと途端に不機嫌になる。

「先生、そのあとミライさんの歓迎会も兼ねて飲みに行きましょうよ。ねぇねぇ先生ってば~」

食い下がって離れない広海君。どうしよう。

(せめて飲むだけだったら…)

ミライはお酒は飲める。それなら、何とかゴマかせるかも知れないんだよな。

(うん、そうだ)

迷ってはいられない。

「よぉーし、まっすぐ飲みに行こう!」

と胸を張って言葉を返した。

「ええっ!ちょっと先生、飲むには早いんじゃないの?まだ五時過ぎたばかりだし、ねぇっ」

とさすがにツッ込んでくる広海君。

「いいからいいから」

ここは強く押し通すべし。

「良くないわ。私はお腹が空いてるの。何か食べに行きましょうって先生」

と負けじと目を逸らさずに、食べに行きたいと頑張ってくる広海君。

(う~ん、彼女の意見を曲げるのも難しいゾ。どうしよう…)

と困って教授を見ると、教授がまた一つ咳をして口を開いた。
< 57 / 324 >

この作品をシェア

pagetop