ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「ねえミライさん、センセーいい人だから、誤解しないで付き合ってあげてね」

と小悪魔な笑みでミライを見つめた広海君が、続けて僕にニヤッと目線を合わせてきた。

「ウフッ、今夜は二人の素敵な夜になるのかなぁ~?」

ってオイッ、勝手に話を盛り上げるなっ。

「何言うんだ、違うんだこれはっ、その、…」

と否定しに掛かったものの、どう言い訳したら良いんだ、これは。

「つまりその、なんて言うか…」

言葉に詰まって宙を見上げていると、広海君がパンと肩を叩いてきた。

「心配しないでよぉ先生。ちゃんとお邪魔虫は消えるから。じゃあ後はガンバってねセンセ。ここはおごりにしといて。ごちそうさまー」

と勝手に席を立って、チャッカリおごりにしてバタバタと店から出て行く広海君。

「おい待てよ、おいっ、…」

と呼び掛ける声も空しく掻き消え、全く勘違いしたまま広海君がドアの外へと消えて行った。

「…」

いまさら追い掛けたところで、良い言い訳が出来るワケでもないので、諦めた。

「妙な話になっちゃったな…」

仕方なくカウンターに向き直って、ジョッキに残ったビールを空けた。

(どうしたもんだろう…)

これから先、広海君の前でのミライの扱いを考えると、どうにも頭が痛いよ。
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