ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「いいかいミライ、簡単に言えば、ボールを投げてピンを倒せばいいんだよ。あんな風に」

とレーンで投げているグループを指差した。ちょうどピンがガコーンと豪快に弾けて歓声が響き渡ってきた。その様子をじっと見るミライ。

「ミライ、こっちだよ」

ミライに声を掛けてレンタルシューズを選び、ボールが並んだラックの列へと歩いた。僕がいつもの軽めのボールを選ぶと、ミライも同じ重さを選んだ。普通は女の子ならもっと軽いのを選ぶんだけど。

「大丈夫?持てるか?」

「うん。大丈夫」

と難なくボールを掴むミライ。

(そりゃそうだよな)

中身はキカイだ、重さは関係無いのかも。

「投げ方はわかるかい?」

足の運び方とかフォームとか。

「ん~、わからないの」

とミライがレーンで投げている人たちを振り返った。

「みんな投げ方が違うから」

レーンのあちこちで楽しげにボールを投げる姿が見えるが、確かにみんなそれぞれ微妙なクセがあって、一人として同じ投げ方はない。

「誰をお手本にしたらいい?」

と首を傾げて聞いてきた。

(そうか、誰かのマネで覚えようとしてるのか)

そういえばアイロンのかけ方も僕を見て覚えていた。とすれば…。

「だったら、僕の投げ方を見てマネすればいいよ!」

それがいい。それなら絶対パーフェクトの可能性はないゾ!

(良くて120~130ってところかな)

ヘンな自信だけど。

「ようし、じゃあみんなのところへ行こう!」

パッと肩の荷が軽くなって、明るくみんなが集まるレーンへと戻った。
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