探偵喫茶へようこそ


「どうして……」



「夢里の成績が落ち始めたからよ」



すると、いつの間にか後ろにいた京子が洋一の質問に答えた。


いるとは思わず、つい勢いよく京子の顔を見た。



そして、夢里は絶望の表情をした。



「私の、せい……?」


「夢里、私が出した条件、忘れたなんて言わないわよね?」


「高校卒業して、夢を叶える、でしょ?」



忘れるはずなかった。


そのために、知由の世話も勉強も、夢を叶えるための努力もしてきた。



それなのに。



「でもあなたは赤点ギリギリの成績になった。それだけじゃない。授業中も居眠りしてるらしいじゃない」


「それは……」



夢里の目は泳いだ。



どれだけ努力をしたって、結果が全てらしい。



「それだけ、知由のことを大切に……」


「あなたは黙ってて」



洋一がフォローしようとするも、京子に遮られてしまった。



「お母さん……せめて、どこの施設かだけ教えて……知由に、会いたい……」



夢里は泣きながら訴える。

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