探偵喫茶へようこそ
『滋へ
滋といることは、私にとって“スミレ”だった。
滋がいない日々は、“キンセンカ”でいっぱいだったよ。
だから、これからは滋からたくさんの“バラ”をもらいたいな。
もう、“カタクリ”なんてできない。
……だ、……
夏芽』
そして、一緒に置いてあったのは赤い薔薇が三本。
「なるほど、面白いラブレターだ」
知由はクスクスと笑いながら、手紙を滋に返した。
「やっぱり、みさきちゃんはもう解けたんだね。でも、僕、自力で解きたいから……答えはまだ言わないで?」
「わかっている。なにより、この答えをあたしから言ったら、意味がない」
「そうなんだ……ありがとう」
滋は椅子に腰掛け、手紙とにらめっこをし始めた。
することがなくなり、暇となった知由は、外に出た。
何もないが、空は雲一つない晴天だ。
日向ぼっこくらいは出来るだろう。
そうしてドアのそばで日向ぼっこを開始する。
すると、どこかからガサガサという音が聞こえてきた。
立ち上がってスカートについた砂埃を払い、見に行ってみる。
「そこで何をしている」
「わっ……」