夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

それどころか、どんどん追い込まれて悪い考えしか浮かばない日々。

そして、耐えきれなくなった私はマスターさん達にも何も言わずに、生まれ故郷であるこの小さな島に戻ってきた。
育ての親である診療所の先生と奥さんは、黙って私を受け入れて「おかえり」と言ってくれた。

それから、ひと月余り……。
居心地の良い環境で過ごせば、いつかは落ち着くと思っていたのに、調査員の制服を見たらまた胸が締め付けられて痛くなった。


「帰りますよ。
でも、その時はユイさんも一緒です」

「……」

「ボクは、ユイさんを迎えにきたんです」

私の耳に届く、レイさんの声。
その優しい声と言葉は、まるで絵本の王子様がヒロインの女の子に言う台詞みたい。

そんな事を思って、私は俯いて自分の表情が見えないのをいい事に思わず、くすっと笑った。


……嬉しかったからではない。
これは、苦笑いだ。

だって私は、自分が可愛いヒロインになれる女の子だなんて思ってはいないのだから。
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