夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「ヴァロン様が、生きていらしたんです。
記憶を失くされて、別人のようになってしまわれているそうですが……生きているんです」
……知ってる。
ヴァロンさんらしい人物が大手の企業の令嬢と婚約中だと、謹慎中に雑誌で読んだから。
生きているのだと知った時、確かにホッとした。
熱い気持ちが込み上げて、鼓動が高鳴った。
ーーでも!
今の状況下で、今更何が出来るというの?
ヴァロンさんが生きていてくれたとしても、それでシャルマと結んだ約束が消える訳ではない。
”生きていていて良かったね!”って、全てが元通りになる訳ではない。
むしろ、生きているのに以前のように接する事の出来ない生殺しのような状態なのだ。
「アカリさん、ボク等に手を貸してほしいってもう一度頼ってくれたんです!
だから、ユイさんも一緒にっ……」
「諦めないって、何が出来るって言うの?!」
諦めない、なんて口ではいくらでも言える。
でも、そんなに簡単な問題ではないと思った私は声を上げていた。