悪魔の囁きは溺愛の始まり
「一花のすべてが欲しい。」

「それで満足した蒼大さんはどうするの?」


蒼大さんの温もりが離れていく?

今の幸せな時間に終わりが来る?

初めて味わう幸せに、何かが変わる事で終わりを迎えるかもしれない………そんな恐怖に襲われていた。


「一花は『俺を必要としてくれてる』って事だよな?」

「えっ?」

「俺を失ったら………って思ってる。」

「………。」

「俺と一花は同じ気持ちになってるんだ。」


蒼大さんの言葉の意味を理解しようと思考をフル回転させる。

『俺と一花は同じ気持ち?』


「突然、俺が消えるって思ってる。」

「………。」

「俺は一花をずっと離さない。」


蒼大さんの胸に押し付けられるように強く抱き締められた。

温もりに目を閉じれば、蒼大さんの鼓動が聞こえて安心する。


「ずっとずっと変わらない。俺にとって、一花だけが特別な存在だ。」

「………うん。」


囁かれる優しい声に不安が一気に掻き消されていく。

燻っていた不安が取り除かれていく。


「一花は俺にとって特別なんだ。」

「………うん。」
< 162 / 200 >

この作品をシェア

pagetop