お見合い結婚時々妄想
番外編7 娘の彼氏
読者数600人突破記念の番外編です
本棚に入れて下さった皆様
ここに来てくださった皆様に感謝を込めて
本当にありがとうございます



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「慎一郎さん。今度の週末、忙しい?」
「いや。仕事もひと段落したし、何もないよ」
「良かった。じゃ、予定入れないでね」
「いいけど、どうしたの?」
「祥希ちゃんがね、彼氏連れてくるから会って欲しいんだって」
「は?」
「祥希ちゃんが彼氏紹介してくれるのって初めてだから、楽しみだわ」


は?と言ったまま固まっている僕を置き去りにして、妻は鼻歌を歌いながらキッチンに行ってしまった


祥希子が彼氏を連れて来る?
て言うか、そんな相手がいたなんて聞いてない
祥希子は大学二年生だぞ?
なのに彼氏だと?
まさか、結婚とか言うんじゃないだろうな……
いや、そんなことは許さない
絶対阻止しなければ!!


僕はガバッと立ち上がって妻がいるキッチンへと向かった


「祥子。相手の男がどんな奴か祥希子から聞いてるのかな?」
「大学の同級生って言ってたよ。学部は違うみたいだけど」
「それから?」
「あ、中学が一緒だったって」
「中学って、祥希子は日本の中学には1年間しか通ってないじゃないか」


そうなのだ
僕の転勤に伴って、祥希子は5歳から約10年アメリカで過ごした
祥希子は中学3年の時に日本に戻ってきたので、日本の中学には1年間しか通っていない


「祥希ちゃんが日本の中学に転校してすぐに、その子も親御さんの都合で大阪に引っ越したそうなのよ。で、大学で再会したって言ってたわ」
「祥希子はその時から好きだったのか?」
「そこまでは私も知らないわ。もう慎一郎さん、晩御飯作るのに邪魔だからあっち行ってて」


頰を膨らませる妻にキッチンから追い出されてしまった
リビングのソファーに座って新聞を見るが落ち着かない
祥希子に直接聞こうにも、大学入学と同時に一人暮らしを始めたので聞けやしない
妻にはマメに連絡しているようだが、僕にはさっぱり連絡は来ない
しかし、妻は何故あんなに楽しそうなんだ?
僕は全然楽しくない
これが父親と母親の違いなのか?


はぁっとため息をついて、新聞を閉じた
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