お見合い結婚時々妄想
そしてその日の夜、寝室のベッドで本を読んでいると、寝支度を済ませた妻が寝室に入ってきた


「まだ起きてたの?」
「ん?まあね」


本を開いているが全く頭には入ってはこなかった
僕はため息をついて本を閉じた
妻は小さく笑うと、ベッドに入り、僕をそっと抱きしめた
僕も小さく笑って妻を抱きしめる


「祥子。今日は疲れたよ」
「そう?私は楽しかったわ。上田くん、いい子だったじゃない」
「それは分かるけど、それが逆に面白くないというか……」
「あら、いい子じゃない方が良かった?」
「そういう問題じゃない」



僕の言い草に、妻は笑いながら背中をポンポンとしている


「これから1年間、2人は寂しいだろうね」
「そうだな。でも、2人なら大丈夫だろ」
「うん。私もそう思う。それはそうと、よく慎一郎さん反対しなかったね」
「じゃ、聞くけど、反対する要素がどこかにあった?」
「……ないわね」
「だろ?身なりもちゃんとしてたし、まだ半年しか付き合ってないのに祥希子の不安を取り除く為に僕たちに挨拶までするなんて、大した男だよ。それに……」
「それに?」
「祥希子の顔見てたら、反対なんかできない」


そう、祥希子が上田くんを見る顔が、妻にそっくりだった
妻が僕に見せる顔に……
つまり、祥希子はそういう相手を見つけたんだろう
あんな顔見せられたら、もう親の手を離れたと思うしかなかった


「そうね。祥希ちゃん、幸せそうだった」
「まだ嫁にはやらないけどね」
「もう、慎一郎さんったら」


そう言って笑いながら、僕たちはしばらく抱き合っていた
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