失恋の傷には媚薬を


『楓は、幸せか?あの彼と結婚するのか?』



「そうよ。これから彼と暮らすの。もう私の邪魔をする人はいない、安心して幸せになれるわ」



悲しそうな顔をした健ちゃんは
何か言いたそうだったが
それに気づかぬふりをし
キッチンへと向かった



初七日は滞りなく終わり
両親と3人で夕食をとっていると
母が亮平さんとの結婚は
来年にしてほしいと言ってきた
何故、と抗議したが
父も母の意見に賛成した


二人が気にしたのは
世間体、だ



姉が亡くなったのに
すぐ結婚しました、だなんて常識外れだそうだ

別に入籍だけ先にしても、と言ったが
首を縦には振ってくれなかった


死んでまで私の邪魔をする姉
苛立った私は
食事を中断し部屋から荷物を持ち帰ることにした

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